20年前不登校だった私が体験談を語るブログ

「行きたくない」を「生きたくない」に置き換えて

16歳の頃、嘘をついてアルバイトの面接を受けた思い出

不登校になった私が17歳で高校を退学し、フリーターに転身した頃のお話を少し・・・
正確には17歳になる年の夏に退学したので、まだ16歳だった頃の思い出です。

学校に行かない道を選択し、もう学校も辞めるつもりだし、さて何をしようかな、とりあえず学校行かないなら働かなくちゃな、と。

接客業に興味があったので
初めてのアルバイトはハードルの低そうなコンビニに希望を絞り
様々な所に電話をかけたり、履歴書を持参して直接店舗を訪ねては
「アルバイトの募集はされていませんか?」と、飛び込みで伺ったりしていました

こうして文章にして改めて思いますが、あの頃の自分は結構勇気があったのですね

当時、アルバイトの応募年齢の下限は18才が基本だった為、16歳の少女を雇用してくれる所など皆無に等しく、年齢を言っただけで門前払いを何度も食らいました。

さて困り果てた私、当時仲の良かった少し年上のフリーターのお友達に相談したところ
「年齢を水増しして誤魔化せばいいよ」という悪知恵を授けていただき「なるほど!」と納得

さっそく生年月日を1歳ほど水増しして
「現在は17歳なのですが、もうすぐ18歳になります・・・。」
という、すごく曖昧な設定で面接のアポを取ってみました
出来るだけ年齢を水増しせず、曖昧な表現にすることで、少しでも嘘をついている事への罪悪感を減らしたかったのでしょうね。

しかしながら、その嘘が功を奏し
なんと、今まで全滅だった面接のアポイントが驚くほど簡単に取れたのです
私はその瞬間嘘をついていた罪悪感など忘れ去り、内心ガッツポーズ!

人生において、最初で最後の年齢詐称をして面接に臨んだ場所は

『ローソン同心二丁目店』

今はもう無くなってしまった、大阪環状線JR桜ノ宮駅にあったコンビニでした

当時の私は、大阪の中心部からほど近く帝国ホテルが眼前にそびえ立ち春には川沿いが満開の桜で華やぐ桜ノ宮という場所に強い憧れを抱いていました。

「あの場所が職場だったら、なんかカッコイイなあ。何の仕事でもいいから、もし働くならあの場所で働いてみたいなぁ」と思っていました。

そのコンビニは時給がとても安く、そのうえ定期券が月1万円を越えるにもかかわらず
当然ながら「交通費支給無し」という条件であったため、今では絶対に受けないバイトですが

憧れと経験値の低さと、そして何よりも
今まで幾度となく門前払いされ続けてきた中で
初めて面接を承諾して貰えたという嬉しさから
迷う事無くローソン同心二丁目店へ面接を受けに行きました、

意気込んだ面接では、様々な事を話し
割とお話も盛り上がった為
初めての社会への第一歩に手ごたえを感じたのを覚えています。

と、ここまでは順調だったのですが・・・

最後に店長からさり気なく身分証明証を掲示するよう求められました。

緊張と興奮で年齢詐称をしている事をすっかり忘れていた私は
何の躊躇いも無く笑顔で身分証明証を差し出しました。

その場で店長は何も言いませんでしたが
今思えば、採用が決まってからならまだしも、面接の時点で身分証明証の提示なんて後にも先にもこれが最後だった気がするので、よっぽど怪しまれていたのでしょうね(笑)
 
そして、面接の帰り道で
ようやくこの重大なミスに気付きました

あの瞬間は忘れもしません
面接時に「あなたの長所は何ですか?」という質問に対して
「嘘をつくのが苦手な事です」と述べた自分を渾身の力で殴りたい衝動に駆られました。
 
そして翌日、バイトの採用合否のお電話を頂く前に
自らローソン同心二丁目店に電話をかけ
年齢について嘘をついた事を謝罪し
アルバイト希望を辞退させていただくという旨を告げて電話を切りました。

せっかくのチャンスだったけど、
自業自得だと自分に言い聞かせました


しかしその数分後、店長から折り返しお電話があり

「あなたの正直で誠実な所が気に入りました、年齢は規定の範囲外ですが採用させていただきたいと思います。」

と・・・

思わぬ嬉しい展開に文字通り飛び上がりました。

この様な経緯で、16歳だった私の社会への第一歩はとても思い出深いものとなりました。


大人になり、バイトを辞めて以降も『ローソン同心二丁目店』には近くを通ったら必ず様子を見に行っていたのですが、大阪の中心部からほど近い桜ノ宮には近隣にファミリーマートセブンイレブンが立ち並び

私の生まれて初めてのバイト先は、競争に敗れ廃業に追い込まれてしまいました。


しかし、嘘をついた私を大きな器で受け入れてくださり、初めて社会に出た世間知らずの私を一から育てて下さった

『ローソン同心二丁目店』は

こうして私の記憶の中で永遠に生き続けるだろうと思います

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【追記】

桜ノ宮のローソンでアルバイトをしていた頃、近くに『IMAGICA(イマジカ)』という会社がありました、映画やテレビの映像編集技術を提供されている大きな会社です。

IMAGICA - Wikipedia

大阪の都市部で働くという憧れを達成した私は、いつもコンビニのラッシュ帯である正午~13時より少し外れた時間帯に、IMAGICAの社員証を首から下げてのんびりと買い物にいらしていた女性に次の憧れを抱くようになります。

「この人は決められたお昼休みの時間じゃなくて、自由に休憩を取れるお仕事なんだなぁ、そういうのが認められるお仕事もあるんだなぁ。女性だけどバリバリ働いてるんだなぁ、社員証を首から下げてるのかっこいいなぁ。IMAGICAってどんな事をしている会社なのかなぁ。」

今でも、邦画のエンドクレジットに必ず上がってくる『IMAGICA』の文字を見るたびに、あの女性の姿とその当時の気持ちを思い出します。

IMAGICAは私にはハードルが高すぎたけれど、この様な漠然とした思いを抱きながら、社員証を首から下げて自由な時間に休憩が取れるIT企業に正社員として就職したのは、ここから更に6年後のお話。